Vanuatu diary

青年海外協力隊H27年度1次隊でVanuatuへ派遣されています。

ピジョンを作ろう

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最近、巡回している4つの学校すべてで実践してみて、子供受けがよかった授業を紹介します。バヌアツではどの学年でもいけます。でも、あえて言うなら3~5年くらいがちょうどいいかもしれません。

 

各国で折り紙を教えている方もいると思います。折り紙はバヌアツにはありません。文房具屋さんをいくつか回りましたが、見つけることができませんでした。私の持っている折り紙も数に限りがあります。

そこで、こんな授業をしてみました。

 

図形の授業です。

最初は、三角形や四角形って何?というところから入りました。

私はフリーハンドで黒板に三角形っぽいものを書きました。

 

私      「これって三角形?」

多くの子供  「うん、三角形だ!」

何人かの子供 「いや、直線ではないから三角形ではない。」

 

そう、直線ではないから三角形ではないのです。

定規を使うことがあまりなかったり、全員が定規を持っているわけではなかったりするので、三角形の三辺は直線であるという認識が薄い子供がいるのです。フリーハンドでも三角形だと思っているのです。

 

次に、四角形でも同じことを聞いてみました。

今度は、みんな四角形の辺が直線であるということを理解できました。

 

三角形と四角形の定義が理解できたところで、今度は四角形だけに焦点を当ててみました。

まずは長方形です。子供たちは、次のことに気が付きました。長方形は、向かい合う辺の長さが等しいということ。4つの角が直角だということ。ある学校の5年生は、向かい合う辺は平行になっているということにも気付くことができました。すばらしいです。

 

今度は正方形です。4辺の長さがすべて等しいということ。4つの角がすべて直角であるということに気付きました。

 

さて、ここで、折り紙で作ったピジョン(鳩)を出します。

子供達の反応がすごく良いです。なんだろう??と興味津々です。

私   「さぁ、このピジョンは長方形で作ったでしょうか?正方形で作ったでしょうか?」

子供達 (わちゃわちゃしながら、) 「正方形だよ。」 「長方形だよ。」

私   (ピジョンの折り紙を広げる。)「正解は正方形でした。」

子供達  「Awoooooooooooooooooooooooooooooo!!!!!」

                      (驚いた時の反応です 笑。)

 

その後、日本の折り紙と千代紙を見せて紹介しました。

私   「文房具屋さんを見たけど、折り紙はバヌアツにはないみたい。

     でも、長方形の紙はバヌアツにもあるよね。長方形から正方形に変えることができたら、みんなもピジョンを作ることができるよ。」

 

ちなみにこの問いをビスラマ語で言うとこんな感じになります。

Mi  “Mi bin luk stationary stoa. Be mi bin no save faenemaot fold peper.

          Be i gat rectangle paper long Vanuatu. Yu save se rectangle janjim square?      

   Sipos yu save, yu save mekem pijin.”

 

子供達の目が一気に輝きました。作りたい!作りたい!とみんな口々に言っていました。

どうすれば長方形から正方形に変えられるのか、大きな長方形を使って、考えました。

アイディアが浮かんだ子供に前に来てやってもらいます。でもだいたい4人くらいまで、正解はでません。長方形になってしまいます。うまくいかなくても「ナイストライ!」と励まします。できた子供がいたら、みんなで拍手をします。そして、どのように長方形から正方形に変えたのかみんなで確認します。

 

 

実は、長方形の紙は印刷を多くしてしまったA4プリントを半分にして作りました。

この紙を使えばECOだよね。と言って渡しました。

新しい紙でなくても子供たちは喜んで使います。それに正方形にする勉強にもなります。

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できたあと、みんな色を塗ってお気に入りのピジョンを作りました。

いつのまにか、翼に切れ込みを入れたり、もう少し手を加えて折ったりしている子供も見られました。

気付いたこと。

ピジョンを作るとだいたいどこのクラスも子供たちはピジョンを持って歩き回ったり、飛ばしたりするということ 笑。

ピジョンになりきって、動き回っていました。反応が面白いです。

そうそう!!何人かの子供は余った小さい長方形を使って、ミニピジョンを作っていました。

すごいです。何も言わなくても、自分で工夫して、作ってしまうのですから。

そういうときはすかさず、みんなの前ですごいね!と紹介しています。

ピジョンの作り方を家族に教えることを宿題にしました。

こういう生活経験って特に算数では、大事です。正方形の紙が無くても、これからは作れるねと最後に伝えました。

 

この授業、ピジョンが長方形でできているのか、正方形でできているのかを聞くのは、日本だったらできないかもしれません。みんな折り紙を知っていますから。バヌアツだからこそできる授業だなと思います。ちなみに60分でこの内容をしました。

学校にもよりますが、バヌアツは90分授業が一般的です。

私は、90分授業があるうちの30分は音楽、60分は算数を教えています。

私のように、教育事務所配属で、巡回指導をしている者の利点は、同じ内容の授業が何度もできるというところです。反応を見ながら修正することができます。あと3週間ほどで、長いターム休みに入ります。ターム休み中に、教材を研究して、いくつか子供たちが楽しみながら学べる授業を考えて準備しようと思います。

 

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教育事務所のプリンターの横にA4のリサイクルボックスを作りました。

ミスプリントはここに入れてね、とみんなに伝えました。同僚が、ポスターを作ってくれました。みなさん印刷ミスをしたら、そのまま捨てていたからもったいないなと思っていました。この紙を授業で使えたらいいなと思います。事務所の中のリサイクル意識が薄いとも感じていたので、意識を変えるよいきっかけになればいいなと思います。

 

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後日談・・・1週間後、あるクラスへ行ったらまた、ピジョンを作っている子供がいました。覚えていてくれてうれしいですね。でも担任の先生の授業中はやめてね 笑。